「戦略的売買」で買い替えのタイミングを逃すな!

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マンションの買い替えで誰もが悩むのが「売り先行か、買い先行か」の二者選択です。どちらを選択しても、それぞれにメリットとデメリットがあるからです。
買い替えの悩みは「売りが先か買いが先か」の選択
売り先行の場合は、一般に次のようなメリットとデメリットがあるといわれています。
<メリット>
・自宅の売却価格が決まってから買い替え先を探すので、資金計画に狂いが生じにくい
・売り急ぐ必要がない
<デメリット>
・自宅の売却が決まってから引き渡しまでの約2か月内に買い替え先探し・入居をしなければならない
・売却から2か月以内に買い替え先がみつからなければ、みつかるまでの間は仮住まいをしなければならず、そのための手間と費用が新たに発生する
一方、買い先行の場合は、一般に次のようなメリットとデメリットがあるといわれています。
<メリット>
・売却した住宅の引き渡し時期を気にせず、買い替え先をじっくり探せる
<デメリット>
・短期間で売却しなければならない
・自宅売却が長引いて塩漬け状態になると、旧居と新居の住宅ローン二重支払いに追い込まれるリスクがある
これでは売りが先か、買いが先かの判断に困るのが当然です。そうであれば「売りと買いの同時進行」の第3の選択肢が考えられますが、こちらは「不動産業界永遠のテーマ」といわれるほど、ありそうであり得ないパターンとされています。
そもそも、不動産業界で「買うより10倍難しい」といわれているのがマンションの売却です。マンション買い替えで売り先行、買い先行のいずれのパターンでもネックになるのが、購入より売却のタイミングなのです。
買い替え成功のコツは“計画的売却作戦”
では、どうすれば買い替えを成功に導く売却のタイミングをつかめるのでしょうか。
そこで、「売りが先」か、「買いが先」かのパターン選択ではなく、売り買い全体のスケジュールや市況を見据えて売却を計画的に進める「戦略的売買」の視点を持つことが重要といわれています。
マンションの売買には、売り主に有利な「売り時」と、買い主に有利な「買い時」が個別に存在します。両社の立場は二律背反の関係にあるので、双方に有利な「買い替え時」は成立しません。これが「マンションの買い替え成功」を困難にしています。
価格相場の動きも「売り」と「買い」のベストタイミングは異なっています。
価格相場が上昇傾向の時は初期に購入したほうが安く買えるので「買い主有利の買い時」局面になります。ところが相場上昇がピークに達し、下降局面に転じると、下降傾向の初期に売ったほうが高く売れるので、今度は「売り主有利の売り時」局面に変わります。
ただし、これは相場傾向が同一の場合の話で、現実の価格相場の動きはもっと複雑です。エリアによっても相場傾向は異なります。例えば、東京の区部では急速な価格上昇傾向を示しているのに、東京の市部では逆に値下がり傾向を示しているなどの状況が常に発生しています。
この状況をうまく利用すると「買い替え成功」のタイミングをつかめます。相場が値下がり傾向の初期にあるエリアのマンションを売り、上昇傾向の初期にあるエリアのマンションを新居として買った場合です。相場傾向の違いはエリアの違いではなく、同一エリア内でも発生しています。マンションの築年数、開発規模、ブランド力などの違いにより、上昇傾向にある物件があれば、横ばいや値下がり傾向にある物件もあるのです。
こうした相場の特徴を研究し、相場傾向の違いを計画的に利用するのが、買い替え成功の方程式とされています。ただし、買い替えでは売却で得た資金を購入資金に充てるのが不動産売買の常道とされているので、この方程式にこだわり過ぎると新居購入チャンスを逃してしまうおそれもあります。したがって、相場状況に応じて買い替え作戦を変更する、計画の柔軟さも大切です。
マンション買い替えでは、相場傾向の上手な利用と並んで欠かせないのが自宅売却価格の設定です。
売却価格はエリアや物件の条件に左右されます。自宅がどんな価格傾向のエリアにあり、どんな物件かにより売却活動は変わってきます。不動産売却をテーマにしたセミナーなどで、あらかじめ研究しておくとよいでしょう。
売却活動は複数の不動産会社への価格査定依頼から始まりますが、この時、最高値を付けた不動産会社に売却の仲介依頼をするのがベストとは限りません。最高値を付けた不動産会社と仲介契約を結んだもののその査定価格では売れず、何度も値下げする場合もあるからです。売却価格の設定においては、過去の成約事例データや周辺の新築マンション販売状況を基に割り出した、根拠のある設定が重要です。
このようにマンションの買い替えには、自宅売却エリアの相場傾向、新居購入エリアの相場傾向、売却物件の商品価値、価格設定など様々な要因が複雑に絡み合ってきます。そんな中で買い替え成功のタイミングをつかむには、売り買い全体のスケジュールに基づいた計画的な売却が欠かせません。