首都圏中古マンションの成約件数が13か月ぶりに増加

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東日本不動産流通機構がこのほど発表した2015年4月度月例速報によると、同月度の首都圏マンションの成約件数が13か月ぶりに増加へ転じました。また、東京カンテイも「首都圏中古マンション価格が8か月連続上昇」との調査結果を発表しており、首都圏中古マンション市場が活性化の方向に向かっている状況が読み取れます。
東京・神奈川は増加するも埼玉・千葉は減少
まず、東日本不動産流通機構の月例速報によると、2015年4月度における首都圏の中古マンション成約件数は2,808件で前年同月比0.8%増となり、13か月ぶりに前年同月比を上回りました。
このうち、東京区部の成約件数は1,108件で、前年同月比3%増となりましたが、東京多摩地区は269件で前年同月比6.3%減となり、東京区部と対照的な結果になりました。
神奈川県も、横浜市・川崎市地区の成約件数は518件で前年同月比6.6%増となりましたが、そのほかの地区は202件で前年同月比3.6%増にとどまりました。
一方、埼玉県の成約件数は357件で前年同月比0.8%減、千葉県の成約件数は354件で前年同月比7.1%減となるなど、両県地区は2か月連続の前年同月比減となりました。
このほか、首都圏の成約単価は平均45.6万円/平米で前年同月比5.1%増となり、28か月連続で上昇、新規登録件数は1万4,116件で前年同月比5.3%増となり、4か月連続で上昇の動きをみせています。
一方、東京カンテイが発表した「2015年4月の首都圏中古マンション価格(70平米換算価格)」によると、首都圏全体の平均価格は前月比0.4%増の2,969万円で、8か月連続の上昇となりました。
都県別では、東京都が前月比0.5%増の4,076万円と10か月連続で上昇、埼玉県は同2.2%増の1,882万円、神奈川県は同横這いの2,490万円、千葉県は同2.5%減の1,777万円などとなっています。
埼玉県の場合は、さいたま市が牽引する形で首都圏トップの価格上昇率をみせましたが、神奈川県は価格上昇が一服、千葉県は下落気配などの傾向をみせています。
また、主要都市別では、東京区部が前月比0.6%増の4,563万円で10か月連続上昇、さいたま市は同2.5%増の2,147万円などとなりました。しかし、横浜市は同0.1%の微増で2,626万円、千葉市は同1.1%減の1,654万円にとどまるなど、地域間格差の広がりの傾向が見てとれます。
中古マンション成約件数増加の背景
東京区部の中古マンション成約件数増加と価格上昇は、円安を背景とした海外の投資資金流入の影響とみられています。
例えば、「日本経済新聞(2015年3月19日付電子版)」によると、2014年の国内不動産取引のうち、海外企業・投資ファンドの購入額は9,817億円で前年比2.7倍になっています。不動産業界関係者は「さらに中国、台湾などの個人マネーが流入している。その額は軽く1,000億円を超えるとみられている」といいます。
これら海外投資資金の一部が東京都心部など好立地の新築マンションに流入しており、これが東京区部全体の価格底上げ要因とみられています。その結果、東京区部での新築マンション購入を諦めた消費者の需要が新築マンションより割安な中古マンションに向かい、中古マンションの成約件数増加と価格上昇を下支えしているようです。
ファイナンシャルプランナーの一人は「中期的にみると、中古マンションの価格上昇は緩やかな曲線で今後も続くと予測される。その意味で東京区部の中古マンションは今が買い時といえるかもしれない」と分析しています。