中古マンション価格、天気図で表せば「晴」の地域が最多

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東京カンテイはこのほど中古マンションの価格変動(70平米換算)を天気マークで表した「2015年6月度中古マンション価格天気図」を発表しました。それによると「晴 」の地域は12地域で最多となりました。「価格天気」ではどんな地域が回復しているのでしょうか。
中古マンション価格は大都市を中心に回復基調
●全国の価格天気図概況
6月度の全国概況は「晴」が5月度の10地域から12地域に増加、「雨」は5地域で変わらず、「小雨」も9 地域で変わらず、「薄日」は前月度の12 地域から10地域に減少、「曇」は11 地域で変わらずとなりました。
前月度「曇」だった11 地域のうち、「薄日」に回復したのは宮城県や富山県など3 地域でした。逆に茨城県、群馬県、岡山県など4 地域が「小雨」に悪化しました。
この結果、天気が回復した地域は6地域から12地域に倍増、横ばいが31地域から25地域に減少、悪化は10 地域で変化なしでした。
東京都、大阪府、福岡県、北海道、宮城県、広島市など大都市と地方中枢都市は価格回復傾向を見せていますが、他の地域では下落傾向が強く、価格の二極化が進行している模様です。
●三大都市圏の価格天気図概況
首都圏は東京都が前月度比1.4%上昇、神奈川県が同0.4%下落、千葉県は同0.1%上昇、埼玉県が同0.2%下落となりました。首都圏平均は0.4%の上昇となっています。
近畿圏は大阪府が0.5%上昇、兵庫県は0.1%下落、京都府が0.8%下落、滋賀県が0.7%下落などとなりました。中心府県の大阪府の好調さが目立ち、近畿圏平均では0.2%の上昇となりました 。
中部圏は愛知県が0.7%下落、岐阜県が4.0%下落、三重県が4.6%下落、静岡県は1.4%上昇となりました。中部圏平均は0.6%の下落で全体的に低調といえます。
●そのほかの地域の価格変動
価格回復傾向にある青森県はさらに3%上昇し、平均価格が1,564万円になりました。青森市は11.1%と2か月連続で大幅に上昇、弘前市や八戸市の下落をカバーしました。
価格足踏み傾向だった宮城県は2.5%上昇して薄日が差し、平均価格は1,827 万円になりました。仙台市では青葉区が1.8%、宮城野区が3.1%、若林区が3.1%、太白区が4.1%それぞれ上昇して平均2.6%の上昇を示し、同市の平均価格を押し上げました。
同じく価格足踏み傾向だった宮崎県も1.1%上昇して平均価格が1,440 万円になりました。宮崎市が0.7%上昇したほか、都城市も12.2%と大幅に上昇、天気マークが曇から薄日に回復しました。
価格下落傾向だった長野県は6.6%に反転上昇して平均価格は1,323 万円になりました。茅野市は6%の下落でしたが軽井沢町が10.7%、松本市が9.4%とそれぞれ大幅に上昇、県内の平均価格を引き上げました。
景気だけでは語れない価格変動の深層
大都市を中心に価格が回復基調を示している一因に、購入者層の変化があるようです。
中古マンションは新築マンションに比べ価格が3割程度安いので、従来は新築マンション購入を諦めた消費者層が中心だったといわれています。ところが最近は、購入後の買い替えや生活スタイルの変化も考慮し、価格よりも立地を重視する消費者が増加、購入時より価格が下がりにくい中古マンションの人気が高まっている様子です。
例えば、ある不動産仲介会社の関係者は「立地がよいマンションなら、将来買い替えるときの価格下落幅が小さいと判断し、中古マンション購入に踏み切る消費者が増加している。地方の富裕層が相続税対策として大都市の中古マンションを購入するケースも増えている」と語っています。
また、立地重視で中古マンション購入に踏み切る消費者は「都心の中古マンションか、郊外なら急行の止まる駅近にある中古マンションを選ぶ傾向が強まっている。特に夫婦共働き世帯が都心や急行の止まる駅近の中古マンションを購入する比率が高い」(同関係者)とも述べています。
総務省の労働力調査によれば、夫婦世帯に占める夫婦共働き世帯の比率は2014年が約38%で2000年に比べ約5ポイント増加しています。夫婦共働き世帯は、お互いの仕事や子育てを考えて都心か駅近のマンションを好むとの調査データもみられます。
どうやら、中古マンションの価格変動を左右するのは今や景気だけではないようです。