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マンション投資の「表面利回り」と「実質利回り」、何が違う?
公開日:2015-11-06 00:00:00.0

目次
マンション投資の判断基準の一つに「利回り」があります。一般的には「表面利回り」と「実質利回り」が判断基準とされています。ところがこの違いをあまり深く考えず、「利回り率が高い=高利回り」との認識で物件を選ぶマンション経営者が後を絶たないといわれています。表面利回りと実質利回り、実際にはどんな違いがあるのでしょうか。
マンション投資の利回りとは
利回りとは、投資額に対してどれだけのリターン(収益)があるのかを計る収益指標のことです。マンション投資における収益指標は、表面利回りと実質利回りで計るのが普通です。
表面利回り(グロス)とは、年間の家賃総収入額を物件価格で割った数値のことです。これは
「年間家賃総収入額÷物件価格×100」
で、算出します。
表面利回り(グロス)とは、年間の家賃総収入額を物件価格で割った数値のことです。これは
「年間家賃総収入額÷物件価格×100」
で、算出します。
実質利回り(ネット)とは、年間の家賃総収入額からランニングコスト(建物管理費をはじめとするマンション経営の諸経費)を引いた額を、物件価格と物件購入時の諸経費を足したもので割った数値のことです。こちらは
「(年間家賃総収入額-ランニングコスト)÷(物件価格+物件購入時の諸経費)×100」
で、算出します。
なお、ランニングコストには建物管理費、修繕費、火災保険料、固定資産税、都市計画税、そのほかがあります。
この数値の違いから、例えば年間家賃総収入額1000万円、ランニングコスト150万円、物件価格1億円、物件購入時の諸経費800万円の賃貸マンションに投資した場合、利回りに次のような違いが生じます。
●表面利回り……1000万円÷1億円=10.0%
●実質利回り……(1000万円-150万円)÷(1億円+800万円)=7.9%
表面利回りは家賃収入が変わらない限り不変ですが、実質利回りは家賃収入が変わらなくても、ランニングコストの変動により年ごとに変わる可能性があります。このため、不動産売買仲介会社が賃貸マンション物件を広告にする際には、利回り変動要因の少ない表面利回りを用いています。
したがって、賃貸マンションに投資する場合は、まず表面利回りから投資候補物件を洗い出し、次に実質利回りを計算して候補を絞り込むのが常道といわれています。表面利回りの高さだけを見て投資するのは危険だといわれるゆえんです。
例えば、同一エリア内に物件価格2億円の新築物件と同1億円の中古物件が売りに出されていて、表面利回りが共に10%だったとします。
一見すると、利回りが同じなら物件価格が半額の中古物件は初期投資額が少ないので、有利な投資対象に見えます。ところが、新築と中古とでは実質利回りが大きく異なる場合があります。
新築物件の場合は、投資直後に大規模な修繕が発生するような事態は通常ないので、まず数年の間は表面利回りと実質利回りとの差はあまり開かないのです。しかし、中古物件の場合は投資直後に大規模な修繕が必要になり、1年目で表面利回りと実質利回りが大きくかい離するようなケースもあります。だからこそ、マンション投資の収益性は、表面利回りではなく実質利回りで計るのが賢い投資といえるのです。
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