マンションの住み替えを成功させるには?手順・費用・ローンについて

先読み!この記事の結論
- 住み替えを成功させるために売却の準備を知る
- ローンの組み方や流れを説明する
- 少しでも高額で売却することや住み替え先のポイントを知る
こんな悩みの人にピッタリ
- マンションの住み替えをしたいけれど何から始めればわからない人
- 住み替えを成功させるための不動産会社の選び方を知りたい
目次
住み替えの手順は売却と購入どっちが先?
せっかく購入した一戸建てやマンションを何かしらの理由で住み替えする際は、売却か購入のどちらを先に行えば良いのか悩んでしまうのではないでしょうか。できれば同じタイミングで住み替えができれば良いのですが、なかなか難しい現実があります。
住み替えをスムーズにするためには、住み替えのタイミングやかかる費用についての知識が必要です。
この記事では、住み替えのコツや知っておきたい基礎知識について解説します。
売り先行のメリット・デメリット
現在のお住まいを売却してから新居を購入する手順を売り先行といいます。
・メリット
売り先行にする場合はその資金を住宅ローンの返済に充てられます。また売れるまでの間に新居を探す準備ができるので、気持ちにゆとりができるでしょう。さらに売却期間が長く設定
ができ、高値で売れる可能性もあるのです。売却できた際はどのくらいの資金を新居探しに使えるのかがわかっているので、資金繰りがしやすくなります。金銭的にリスクを負いたくない人に良いです。
・デメリット
居住しながらの販売なので、引渡しまでに新居を購入しなければ仮住まいになる可能性もあります。また仮住まいになってしまったら、2度の引越しが必要という負担も考えなくてはなりません。
買い先行のメリット・デメリット
売り先行とは逆に新居を購入してから現在のお住まいを売却する手順を買い先行といいます。
・メリット
買い先行の場合は、新居探しもゆっくりとでき、希望の物件が見つかりやすいです。
購入しておけば仮住まいを探して契約する必要もなく、引越しも一度で済みます。
・デメリット
金銭的に余裕がなければ、買い先行だとせっかく良い物件が見つかってもお住まいの売却金額が想定よりも少なかった場合は、その後の生活資金に困る可能性もあります。また売却されなければ二重ローンを支払うこととなり、家計を圧迫してしまうかもしれません。そのため売れなければ焦ってしまい、希望価格よりも安い金額で売却してしまうこともあります。
結局どちらがおすすめ?
多くの人は先に気に入った物件を購入したいと考えているようです。しかし、現実的に資金面などを考えると売り先行が良いといえます。その理由としてやはり住宅のローンが残っている場合は、新たにローンを組むのが難しいからです。ローンが組めたとしても月々の支払いが多くなり、金銭的に苦しい状況になってしまいます。そうはいっても、資金に余裕のある人は買い先行が良いでしょう。
住み替えの理想のタイミングは?
住み替えのタイミングはとても重要なポイントになってきます。理想のタイミングはいつなのでしょうか。
住み替えを検討するきっかけで多いもの
・子育てや教育
子供の出産や進学のタイミングということが多いです。子供が増えることで今の部屋が手狭になるため、住み替えを検討する人が多いです。また子供の教育に力を入れている人も、子供が小学校に入るタイミングで住み替えることがあります。特にエスカレーター式の学校に進学させたい人に多いようです。
・環境を良くしたい
「家の周りにスーパーや病院がない」「近隣との付き合いがあまり良くない」など家の周りの環境が良くない場合も住み替えることがあります。買い物をするためにいつも自転車に乗って遠くまで行かなくてはならないと、ストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
・転勤
転勤が決まった時に住み替えることもあります。単身赴任では家族が離ればなれになってしまうので、思い切って家族で引越しをすることも多いようです。まだ子供が小さい時であればこのタイミングが良いといえるでしょう。
・家の老朽化
お住まいの期間が長く、家が老朽化してきたことにより、引越しをするか検討している人も多いようです。長く住んでいると床材、建具、壁、設備機器の損耗や劣化がどうしても出てきてしまいます。リフォームを視野に入れることもありますが、あまりにもリフォームする箇所が多い時は住み替えてしまうこともあるでしょう。
・老後のため
子供が大きくなり家に夫婦だけになってしまったときのタイミングも多いです。子供のためにいくつかの部屋を用意した家が、急に広すぎると感じるのです。また老後のためにバリアフリーのマンションに住み替えることもあるでしょう。特に地方では車で買い物をしなくてはならない場所にスーパーがあることもあります。そのため、高齢になっても買い物が不便ではない場所に引越しを検討することもあります。また定年退職になったタイミングで住み替えることも多いです。
住み替えの準備はいつから始めるべき?
どのくらいの時間がかかるか把握しておくことで、いつから準備すれば良いのかが見えてきます。また引越し準備もかかってくるため、余裕を持って住み替えの準備を始めなくてはなりません。
マンションによっては入居可能日にも注意しよう
マンションが新築か中古、あるいはリノベーションするかしないかで入居可能日が変わってくる点にも注意が必要です。
・新築の場合
完成済みの新築物件の場合は、支払い方法で入居可能日が変わってきます。現金で購入する場合だと契約から2週間ほどで引渡しを受けられる場合があります。住宅ローンで購入する場合は、ローンの審査や金融機関などの契約の手続きが必要になってきます。そのため3週間から1カ月くらいと考えておきましょう。しかし完成されていない状態であれば、もう少し余裕をみておく必要があります。また注文住宅は工事開始から最低でも約半年ほどみておかなくてはなりません。
・中古の場合
中古物件においては空室であれば問題ありませんが、居住中の場合は入居可能日を相手の状況に合わせる必要があるため、なかなかスケジュールが組み立てにくいことがあります。相談するときは不動産会社に「こちらも何月から住みたい」という条件を出して、双方で話し合わなくてはなりません。即日可能でも契約など含めて3週間はみておくと良いです。
・リノベーションの場合
築年数が経っていると値段も手頃になるため、近年リノベーションをする人が増えています。リノベーションは機能性を良くしたり、付加価値をつけたり住みやすくする改装工事のことをいいます。そのため購入してからリノベーションをすると最低でも1カ月はかかります。余裕を持って、入居希望日よりも少し早めに工事が完成するように依頼をしておくと良いでしょう。
マンションの住み替えにかかる費用
住み替えにかかる費用を知ることで、どのくらいの資金が必要なのかが見えてきます。売却や購入にかかる費用を見てきましょう。
売却時にかかる費用
マンション売却の費用には以下の費用が必要です。
・仲介手数料
不動産を売却できた場合は、不動産会社に成功報酬を支払います。
売却価格が4,000,000円を超える場合は「売却金額×3%+60,000円+消費税」の連算式で求められます。
例えば10,000,000円で売却ができたときの仲介手数料は「10,000,000円×3%+60,000円+10%の消費税」になり、396,000円です。
・印紙税
売買契約書に貼り付ける収入印紙のことです。収入印紙を購入することで「国に税金を支払いました」という意味になります。不動産を売買する際に必要な収入印紙ですが、家を建てるときやリノベーションした際には、施工会社との「建築工事請負契約」に収入印紙が必要です。あとは住宅ローンを借りる際の「金銭消費貸借契約」に収入印紙が必要になります。
印紙税は文書の記載金額によって変わってきます。例えば記載金額が500万円超1,000万円以下の場合の売買契約書に貼る収入印紙は5,000円です。(5000円は軽減税率で、本則税率は、1万円)
・抵当権抹消登記費用
不動産を購入する際に住宅ローンを使っていたときは、不動産を担保として提供し、「抵当権」を設定します。住宅ローンの返済が滞ってしまった際の担保として債権者は差し押さえができるのです。
不動産を新たに購入する場合は、所有する不動産のローンを完済して抵当権を抹消しなくてはなりません。そして抵当権抹消をしていないと不動産を売却できなくなります。この抹消手続きは不動産1筆につき1,000円です。手続きが煩雑になるため、司法書士に依頼をするのが一般的です。司法書士に依頼をする際の金額はおよそ20,000円~25,000円が相場です。
・住宅ローン一括返済手数料
ローンを一括返済する費用は、利用している金融機関によって変わります。大手銀行の一例としては、窓口で行う場合には22,000円程度、インターネットバンキングを利用するなら5,500円程度がかかります。
購入時にかかる費用
売却時と同じく仲介手数料と印紙税がかかります。そのほかにもかかる費用は以下の通りです。
・頭金
頭金は不動産を購入する際に購入金額の一部に充てることです。ただし全額住宅ローンで支払う場合は必要ありません。頭金の金額は特に決まりがなく、資金に余裕がある人は多めに支払ったほうが住宅ローンの返済が楽になります。一般的には購入金額の10%から20%程度です。
・申込証拠金(購入物件による)
不動産を購入すると決めた場合に不動産会社に支払う費用です。購入意思を示す意味合いがあり、相場が2万円から10万円程度です。また、手付金に充当しない場合は、契約時に返金されます。
・手付金
購入して費用を支払う前に購入金額の一部を売主さまに支払うお金です。相場は購入金額の5~10%となり、決済日に残りの金額を支払います。
・住宅ローンを組む際の費用
住宅ローンを組む際には「融資手数料」「ローン保証料」「あっせん手数料」がかかります。融資手数料は金融機関に支払うお金で、金融機関によって設定されていることもありますが、3万円から5万円が相場です。ローン保証料を支払わない住宅ローンの場合は、融資金額×2%+消費税となる金融機関もあります。
ローン保証料は保証人を保証会社にした際に必要なお金です。こちらも保証会社によって変わってきますが、相場はローンを1,000万円組んだ場合20万円程度と考えておきましょう。
あっせん手数料は不動産会社が提携している住宅ローンを利用する場合にかかるお金です。非提携の住宅ローンを利用する場合は費用がかかりません。相場は5万円から10万円くらいみておくと良いです。
・登記費用
所有権の移転登記も必要です。固定資産税の台帳に記載されている不動産評価額の2%を支払わなくてはなりません。
司法書士に依頼をするのが一般的で、10万円~20万円程度の別途費用がかかります。
・保険料
火災保険や地震保険への加入が必要です。住宅構造や保険によって金額が変わりますが、保険期間10年の場合は約10万円~20万円程度かかります。
・不動産取得税
土地と建物の両方に不動産取得税がかかり、土地・建物の不動産評価額に対し、土地の税率は、評価額×1/2×3%、建物の税率は、3%をかけた金額を支払います。なお、この税率は軽減税率であり、2021年3月31日まで適用されます。
マンションの住み替え費用を抑えるには?
マンションの住み替えには多くの費用がかかりますので、少しでも金額を抑えたいものです。
マンションの売却益が出た場合は所得税と住民税がかかってきますが、ある条件を満たしている場合は課税所得を発生させないようにすることも可能です。
居住用財産の3,000万円特別控除」という特例があり、譲渡所得から3,000万円を差し引けます。その条件は以下の通りです。
●取り壊してから1年以内に売買契約締結した場合
●住まなくなってから3年以内に売却した場合
●取り壊してから売買契約締結までに貸し駐車場などにしていない場合
●家族や特別な間柄の人に売却をしていない場合
●前年や前々年にも同じ制度等を利用していない場合
他にも細かな条件がありますので、詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。
条件をすべて満たしている場合は翌年の確定申告をすることで特別控除が適用されます。
例えば譲渡所得が1,000万円で所有期間が5年超の場合、確定申告をすることで本来2,031,500円を納税する必要がありますが、譲渡所得が発生しないこととすることが可能です。
また不動産価値がさがり売却によって損失が出てしまった場合は、確定申告することで「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が適用されます。この特例により、給与所得や他の所得から損失金額を控除することができます。こちらもさまざまな条件を満たす必要があります。
これらの特例を利用して、住み替え費用を抑えましょう。
マンション住み替えで知っておきたいローンの基礎知識
住み替えをした際にローンを組む人も多いかと思います。スムーズにローンを組めるように事前に流れを把握しておきましょう。
ローン審査の流れ
ローンを組む前には金融機関の審査があります。大まかな流れは以下の通りです。
●事前申し込み
●事前審査
●正式申し込み
●本審査
●住宅ローン契約
●融資実行
これらをすべて含めて1カ月から1カ月半ほどかかります。そのため、事前審査や本審査ではどのようなチェックが入るのかを知っておきましょう。
一番の大きなポイントは年収です。特に「借入金額が年収の何倍になるか」がポイントになってきます。借入金額の限度は年収の7倍から8倍が一般的です。また返済負担率も重要なポイントになってきます。年間の返済額が年収のどのくらいなのかを示す割合です。返済負担率の審査基準は一般的には30%から40%ですが、金融機関の審査が近年厳しくなっているようです。
ローンの種類
住宅ローンには、新規の「住宅ローン」と「住み替えローン」があります。そして住宅ローンの場合は「公的ローン」と「民間ローン」に分けられます。
・公的ローン
財形住宅融資と自治体融資があります。財形住宅融資は財形貯蓄を1年以上続けていて、申し込み日前2年以内に財形貯蓄の預け入れを行い、かつ、残高が50万円以上あるなどに該当する人が受けられるものです。最高4,000万円までとされています。サラリーマンを対象とした融資です。事業主や共済組合が窓口となります。
自治体融資は都道府県や市区町村が実施している住宅ローンです。自治体によって条件が変わってきますが、すべての自治体が行っているわけではありません。条件にはその自治体に一定期間居住していたり、勤務していたりする人を対象とする場合があります。
・民間ローン
民間ローンは銀行や生命保険会社などが実施しており、「提携ローン」と「非提携ローン」があります。提携ローンは不動産会社と提携している金融機関が提供するローンです。金利優遇が適用されるなどのメリットがありますが、利用できる金融機関が限られています。非提携ローンは提携金融機関以外の金融機関を利用するローンです。
また住み替えローンは物件が売却できてもローンが残ってしまう場合、ローンの残債と新居の購入資金を同時に借入できるローンです。ただし通常の住宅ローンよりも条件が厳しくなり、金利タイプや貸付内容に制限があります。
ローンの返済方法
返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。元利均等返済とは一定の返済額を毎月支払う返済方法です。毎月一定の金額なので、予定が組みやすいのが特徴です。しかし、返済当初は元金がなかなか減らないため、元金均等返済に比べて総返済額が多くなってしまいます。
元金均等返済は返済額のうち元金の金額が一定になる返済方法です。元金の返済が一定なので、返済が進むにつれて毎月の返済額(元金+利息)も少なくなっていきます。しかし、返済当初は毎月の返済額が大きく負担になる可能性があります。それぞれのメリットやデメリットを調べて、自分のライフスタイルに合わせてください。
ボーナス返済込みで返済期間のイメージを
住宅ローンの多くは「ボーナス返済」の設定が可能です。ボーナス返済は年2回のボーナス月に、住宅ローンの返済額を増額できます。ボーナス払いを利用すれば、毎月の返済額が抑えられます。
例えば、元本3,000万円の住宅ローンを組み、ボーナス返済の割合を20%にしたとします。そうすると毎月返済の住宅ローンの元本総額が2,400万円で、ボーナス返済元本総額が600万円となり、返済のイメージがしやすくなるのです。しかし、お勤めの会社の状況によってボーナスが出ないということも起こり得るため、ボーナス返済の額を多くすることは避けたほうが無難でしょう。
マンションの住み替えを成功させるためのコツ
マンションを早く売却するには、ちょっとした工夫をすることが大切です。
以下のような工夫をすることで、マンションの買主さまが早く見つかる可能性が高まります。売却期間を短縮することで、スムーズな住み替えを実現しましょう。
●ハウスクリーニングを行う
●いつでも内覧者が来ても良いように清潔にしておく
●水回りなどは徹底してきれいにしておく
●家具はそのままにして住んでいるイメージができるようにする
住み替え先を選ぶ際のポイント
住み替え先で気持ち良く長く住むためには、物件選びがとても重要です。
住み替え先を選ぶ上での主なポイントは以下の通りです。
●交通機関が利用しやすい
●周りにスーパーや病院などの生活利便施設がある
●騒音が気にならない
●バリアフリー対策済
●しっかりしたセキュリティに守られている
●住みやすい間取りになっている
●災害に強い立地にある
などがあげられます。特に老後のことを考慮するとバリアフリー対策のあるマンションがおすすめです。
まとめ
住み替えをする手順やローン組みなどをしっかり押さえることで、スムーズに住み替えを進めることができます。家を売りに出してもすぐに買主さまが見つからないことも考えながら、焦らずに住み替え準備をすることが大切です。
住み替えを成功させるためにも、常に家をきれいにしておくことも重要なポイントになります。住み替えにかかる費用も考えながら行動することで予算オーバーにならないでしょう。半年や1年を目処に考えて、損をしないように住み替えをしてくださいね。