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都心8区の中古住宅マーケットウォッチVol.3

公開日:2023-06-16 00:00:00.0

目次

前回の報告に引き続き、直近1年間の都心エリア中古マンションの四半期平均販売価格を見ていきます。Vol.2までは都心6区の推移で見ていましたが、Vol.3より都心8区(品川区、目黒区を追加)での推移で考察していきます。



都心8区販売価格の推移は?(図1)




対前年の同時期からの1年間の変動率を示す上記「図1補足データ」から、直近の2023年第1四半期では、渋谷区の7.59%、品川区の7.03%が突出して大きく、逆に低いほうでは文京区0.86%、港区2.03%と落ち着いています。年間を通じた平均では品川区の8.39%、新宿区の7.58%、中央区の6.18%、の伸び率が大きく、港区は2.36%と落ち着いているという特徴があります。全般的には上昇を続けています。


ここで、マンションのマーケットが若干過熱している一例を挙げます。


港区白金1丁目に2022年12月に竣工した「白金ザ・スカイ」という新築マンションは、新規分譲の契約後竣工引き渡し前から、未入居での転売による活発な売買が行われています。株式会社大京穴吹不動産における取扱実績を見ると、新築分譲価格から130%を超える成約取引例もあります。


中古住宅の成約単価が右肩上がりになっている一つの理由は、「白金ザ・スカイ」のように厳選して開発された一部の『都心・駅近・再開発物件』が、成約単価を押し上げているからであると考えられます。



都心3区(中央区・港区・千代田区)の成約件数-成約単価の推移は?(図2)



都心3区においては前回同様、今回も半年前の件数と成約単価の間に相関関係が見られ、件数が増えていくと半年後には、成約単価も影響を受けて大きくなるという見方ができます。2020年第4四半期の成約件数の大きな落ち込みは、コロナ禍における外出自粛によるものだと考えられます。直近の件数は2022年第1四半期に下がりましたが、以後持ち直しています。


一方、平均単価はこの3年増加率が大きくなっていましたが、直近の2023年第1四半期にはその反動で若干落ち込みました。(レインズデータより)



都心3区(中央区・港区・千代田区)の物件ストック数と成約比率は?(図3)



都心3区のストック数と成約比率との関係は時間差(ラグ)なしで、負の相関関係があり、直近の2023年第1期の件数は対前期上昇、成約比率はやや下降しています。(レインズデータより)



まとめ


今回の「マーケットウォッチVol.3」の報告でも都心における中古住宅のマーケットは引き続き上昇局面で推移していることが判明しました。その要因の一つとして特筆すべき項目は、図1の解説でも触れた「契約後竣工前の転売」の動きです。マーケットウォッチVol.2でも触れたように、この状況は金利上昇にあまり影響を受けない購入層によって支えられていると推測されます。もうそろそろ落ち着く時期ではないかとも考えられますが、その見極めが大事になってきます。この見極めには、最新情報はエリアに精通した不動産のプロフェッショナルに相談するのが良いでしょう。


今後も定期的にマーケットウォッチを更新していきます。次回も今回のまとめと比較し最新の市況動向を読み解いていきます。



Writer

村木 信爾 氏

不動産鑑定士、不動産カウンセラー、FRICS、京都大学法学部卒、ワシントン大学MBA。

信託銀行にて、不動産鑑定、仲介等の業務に携わった後、現在、大和不動産鑑定㈱シニアアドバイザー、明治大学ビジネススクール兼任講師(元特任教授)、PROSIL代表。近著に『不動産プロフェッショナル・サービスの理論と実践』(清文社)2022.6刊、がある。

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