大規模と小規模、暮らしやすいマンションはどっち?

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マンション選びでは、大型物件を中心に探す「大規模マンション派」と小型物件を中心に探す「小規模マンション派」に分かれる傾向があるといわれています。どちらが暮らしやすいのでしょうか。実は暮らしやすさに差はほとんどありません。基準はその人のライフスタイルで変わるからです。では、自分たちのライフスタイルに合った規模とは何を基準に選べばよいのでしょう。
大規模マンションの特徴
マンションの規模に関する明確な基準はありません。しかし100戸以上のマンションを大規模、50戸以下を小規模、両者の中間を中規模とするのが一般的なようです。
大規模の場合、近年は200戸を超えるマンションや、居住棟以外に大型ショッピングセンター、フードコート、フィットネスクラブ、保育施設、医療施設などの生活関連施設を同一敷地内に集積した「コミュニティ型マンション」も増えています。
大規模マンションの特徴は「規模そのものにある」といえます。コミュニティ型でない通常の大規模マンションでも、その規模を生かした共用施設や共用サービスの充実度が高いのが魅力になっています。
共用施設としてはロビーラウンジや展望室、集会室、ゲストルーム、パーティールーム、フィットネスルーム、温水プール、カフェ、ビオトープなどの施設があります。
共用サービスでは単なる管理人の配置ではなく、フロントにコンシェルジュが常駐し、クリーニングや宅配便の取次ぎなどをする24時間有人管理、専任の警備員による巡回など、ホテル並みのサービスをしているマンションもあります。こうした充実度の高い共用施設や共用サービスはマンション自体のステータスを高め、ひいてはマンションの資産価値低化を防ぐ要因になっているといえます。また以下のようなメリットもあるようです。
●住環境が優れている
大規模マンションは敷地が広いため、緑地、ビオトープ、遊歩道などを効果的に配置し、快適な住環境を確保しているケースが多くみられます。敷地内の建物も間隔をゆったりと取り、居住棟の日照やプライバシーも確保されています。
●住戸の選択肢が多い
大規模マンションは延べ床面積が広いので、住戸の広さや向き、間取りのバリエーションが多く、住戸の選択肢が多くあります。
半面、次のようなデメリットもみられます。
●管理費が高い
共用施設や共用サービスの経費は管理費で賄っているので、その品質レベルが高いほど管理費が高くなります。利用頻度の高い施設なら管理費の割高感はあまり感じないと思われますが、利用頻度の極端に低い施設や必要以上に豪華な施設は割高感を増大させる可能性があります。大規模マンションを選ぶ際は「自分たちにとってこの施設は必要なのか」という視点が必要です。
●近隣関係が希薄
大規模マンションは入居者が多いため、一般的に入居者同士でも互いに面識がない場合もあり、マンション内のコミュニティ形成が難しい傾向が見られます。
●立地条件が悪いケースも
大規模マンションが建てられるような広い土地は、都心など便利な場所での確保が難しく、一般的に市街地から離れた工場跡地など利便性のよくない場所に建設されているのが普通です。このため、マンション敷地内は共用施設の充実、緑地などの整備で快適な生活環境が確保されていても、敷地から一歩外に出ると日常生活に必要な商業施設が近くになかったり、道路はトラックの往来が激しかったりするケースが少なくありません。大規模マンションを選ぶ際は「敷地内と周辺環境との落差をどこまでなら許容できるか」という視点も大切です。ただ、都心再開発エリアでの大規模マンションなどは例外で、駅前など利便性のよい立地に建設されているケースが大半です。
小規模マンションの特徴
一方、小規模マンションの特徴は「機能にある」といえます。
小規模マンションは特定入居者の生活ニーズに応えるために開発されているケースが多く、一般的にレベルの高い住機能が魅力です。つまり、汎用性より個性重視のマンションともいえます。
入居者専用のワインセラーを備え、ソムリエが常駐するワイン愛好家専用マンションなどはその典型です。ニーズの高い都心の小規模マンションだからこそ、大胆な開発ができるわけです。つまり、小規模マンションの場合は機能性が資産価値といえます。また、小規模マンションの魅力として、次のようなメリットもあげられます。
●立地条件が優れている
小規模マンションはそれほど広い敷地を必要としないので、駅前、戦前からの閑静な屋敷街など立地条件の優れた場所に建設されているケースが多く、利便性や住環境の面で優良な物件が豊富です。
●近隣関係が濃密
共通のライフスタイルを持った入居者が多いので、自然とコミュニケーションが活発となり、マンション内のコミュニティ形成が容易なようです。
選択基準は自分たちのライフスタイル
このように大規模マンションも小規模マンションもそれぞれ2者択一では判断しがたい魅力があります。このため、選択基準はどうしても「どんなマンションライフを楽しみたいのか」ということになるでしょう。
ただ、マンション既存入居者のさまざまなアンケート調査結果から考えると、以下のようなライフスタイルの分類が選択基準の参考になると思われます。
<大規模マンションに向いているライフスタイル>
・広くて緑が豊かな場所で暮らしたい
・休日やアフター5は家族と外食、観劇、友人を招いたホームパーティーなどの都市生活を満喫したい・休日は家族との時間を充実させたい
・住戸内は高級感より使い勝手などの実用性を重視する
<小規模マンションに向いているライフスタイル>
・レベルの高い住機能で個性的な暮らしがしたい
・日常的に必要な生活関連施設はコンパクトに利用したい・近隣付き合いなど地縁も大切にしたい
・住戸内は実用性より自分らしさやこだわりを重視したい
過ごしたいライフスタイルを改めて見つめ直すことが、自分に最適なマンションを購入する手がかりになるでしょう。