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相続した不動産の売却にかかる税金は?計算方法と手続き方法を紹介(マンション・一戸建て・土地)

公開日:2022-09-29 00:00:00.0

先読み!この記事の結論

  • 相続した不動産を売却すると相続税以外の税金が必要
  • どのような税金がどのくらいかかるのか
  • 相続した不動産を売却した時の税金の手続き方法は?

こんな悩みの人にピッタリ

  • 親から相続した実家の売却を考えている人
  • 相続した不動産の税金について気になっている人

目次

相続した不動産の売却にかかる税金の種類


相続した不動産の売却にかかる税金の種類相続が発生して、被相続人の財産が36,000,000円超遺されていた場合には、相続人に相続税が課税されます。しかし、税金の支払いが相続税だけで終わらない場合もあるので注意が必要です。

相続が発生してから、更なる税金の支払いが必要になる場合とは、相続した不動産を売却した場合です。相続した不動産を売却した場合に課税される税金は次のものがあります。


●不動産の売却にかかる所得税など

●印紙税

●登録免許税

●消費税


また、相続した物件であるかどうかにかかわらず、不動産の売却にはその他にも様々な費用が必要です。まずは、相続税以外に不動産を売却することで必要になる税金や費用について細かく見ていきましょう。


不動産の売却にかかる所得税など


●不動産の売却にかかる所得税の詳細について

不動産の売却にかかる所得税は、不動産を売却した時に利益が出た場合にその利益、つまり譲渡所得の部分に課税される税金です。不動産の売却にかかる所得税とまとめて呼ぶことが多いのですが、内訳は、不動産の売却にかかる所得税、住民税、復興所得税となります。

不動産の売却にかかる所得税は不動産を所有していた期間によって税率が大きく変わります。5年以下の所有の場合には短期譲渡所得となり税率が高くなります。5年を超える所有の場合には、長期譲渡所得となり短期譲渡所得よりも低い税率になります。

相続した不動産の所有期間の計算方法は、被相続人が取得した日から相続人が売却する前の期間で計算します。相続が発生してからの期間ではないので、被相続人が取得した日から5年以上たっている物件なら長期譲渡所得になります。

不動産の売却にかかる所得税などの税率は、短期譲渡所得の場合が所得税30%、住民税9%、復興所得税が所得税額の2.1%、合計税率が39.63%になります。長期譲渡所得の場合が所得税15%、住民税5%、復興所得税が所得税額の2.1%、合計税率が20.315%になります。


●譲渡所得の計算方法

不動産の売却にかかる所得税は不動産を売却した金額の全額に対して課税されるわけではありません。利益が出た場合にのみ課税されます。譲渡所得とは、売却金額から取得費と売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた残りの金額です。売却金額から利益である譲渡所得を計算する方法は次の通りです。

譲渡所得 = 売却金額 - 取得費(購入時価格+購入時費用―減価償却費) - 譲渡費用

取得費と譲渡費用として認められるものは次の通りです。全て、領収書や契約書、振込の通帳などの金額を証明できる書類がなければ認められません。

取得費として認められる主なものは次の通りです。


・購入代金から建物の減価償却費を差し引いた金額

・購入にあたっての設備費や改良費

・購入時に納めた登録免許税(登記費用を含む)、不動産取得税、印紙税など

・購入時の仲介手数料


譲渡費用として認められる主なものは次の通りです。


・譲渡時の仲介手数料

・印紙税

・賃貸物件を売るために、借主に立ち退いてもらうための立退料

・借地権を売る時に地主に支払う名義書換料


上記の他に相続の発生から3年以内の売却であれば、相続した不動産の取得費には相続税のうち、一定金額も含めることができます。


●不動産の売却にかかる所得税の支払い方法とタイミング

不動産の売却にかかる所得税と住民税、復興特別所得税は確定申告をすることで納税します。所得税と復興所得税は、売却の翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をしたら、すぐに納税します。納税方法は、金融機関か税務署の窓口で現金で納付か、クレジットカード払いなどもできます。

住民税は5月から6月に納税通知書が送られてきます。納税通知書に同封されている納付書を使って納税します。


印紙税


印紙税とは、一定の契約書や株券、有価証券など、印紙税法で定められた課税文書に、定められた金額の収入印紙を購入して貼り付けることで納税する税金です。不動産の売買を行った場合には、契約書に記載する金額に応じた収入印紙を、売買契約書に貼り付けなければいけません。

税額は不動産取引の場合には、200円から600,000円まで契約書の金額に応じて定められています。印紙税の納税のタイミングは、売買契約書を作成する時です。


登録免許税


不動産は所有者の名義を不動産登記簿に登記して、常に権利関係を明確にしておく必要があります。また、ローンなどの借金の抵当に入っている場合には、抵当権についても登記が必要です。

不動産を売買すると、所有者が変わるので、所有権移転登記が必要です。しかし、通常は所有権移転登記に関する費用は買主さま側が負担します。売主さま側には負担はありません。

不動産を売却した時に登記が必要になる場合とは、売却金額で住宅ローンなどの借入を一括返済する場合です。親から相続した自宅の住宅ローンがまだ完済できていなかったり、親が不動産を担保にして借入をしていた場合に、相続した不動産を売却することで一括返済する場合があります。

一括返済できれば抵当権を外せるので、抵当権抹消登記の手続きが必要で、登録免許税を納付します。抵当権抹消に係る登録免許税は、不動産1筆につき1,000円です。土地、建物ともに筆数分必要です。


その他の費用


相続したのかどうかにかかわらず、不動産の売却には何種類かの手数料や費用もかかります。不動産の売却で必要になる手数料は次の通りです。


●仲介手数料

不動産会社に売却の仲介を依頼した場合には、売却に成功したら成功報酬として仲介手数料を支払います。仲介手数料の上限金額は法律で決められています。上限金額の計算式は次の通りです。

仲介手数料の上限金額 = 売却金額の3% + 60,000円 + 消費税

※売却金額が4,000,000円超の場合


●司法書士への報酬

抵当権抹消登記は自分でもできますが、ほとんどの場合は司法書士へ依頼します。司法書士の報酬は依頼する内容によって変動します。抵当権抹消登記の場合には10,000円から 20,000円程度が相場です。


●その他費用

売却するにあたって、測量や建物の解体、不用品の廃棄処分などが必要になる場合には、それらの費用もかかります。


消費税


税金の支払いに対しては消費税はかかりません。しかし、不動産を売却する上では民間の会社などへの消費税の対象となる支払いも発生します。仲介手数料や、抵当権抹消登記を依頼する司法書士への報酬、売却にあたって建物の解体や土地の測量が必要になる場合には解体費や測量費などです。

これらの費用には消費税が必要です。支払金額に消費税率を掛けた金額を合計して業者などに支払います。


相続した不動産の売却にかかる税金を抑えるには


もしも、相続した不動産を売却した譲渡所得が多額であった場合には、長期譲渡所得でも20.315%もの税金が課税されてしまいます。しかし、不動産の売却には次のような様々な控除や特例が用意されています。確定申告をして、控除や特例を申し込みましょう。


控除や特例


●空き家を売った時の特例

こちらは、被相続人が居住用として利用していた不動産が、相続発生以降空き家になっていた場合に売却したら、譲渡所得から最高30,000,000円の控除を受けられるというものです。1981年5月31日よりも前に建てられた建物が対象など、適用を受けるためにはいくつもの条件があります。


●マイホームを売った時の特例

親から相続した住宅に子供が住み続けていて、その家を売却する場合には、マイホームを売ったときの特例で最高30,000,000円の特別控除を受けられます。この控除は、マイホームを売却した場合に、所有期間にかかわらず譲渡所得から30,000,000円の控除が受けられるというものです。適用を受けるためにはいくつかの条件があります。


●10年を超えて所有していたマイホームを売却した場合の軽減税率の特例

10年を超えて所有していたマイホームを売却した場合には、長期譲渡所得の税率をさらに引き下げることができます。相続人が住んでいなかったり、建物を取り壊したりした場合でも、最後の居住から3年以内の売却であれば適用できます。その他、適用を受けるためにはいくつかの条件があります。

所有期間は被相続人が取得した時からカウントできるので、被相続人が購入してから10年以上経っている自宅であれば適用可能です。税率は次の通りです。住民税や復興所得税は通常の長期譲渡所得の税率が適用されます。

60,000,000円以下の部分:14.21%の税率

60,000,000円を超える部分:20.315%の税率


●特定居住用財産の買い替え特例

被相続人が購入してから10年以上所有していて、相続人が住み続けていたマイホームを、買い替えのために売却した場合には、特定居住用財産の買い替え特例の適用が受けられます。これは、譲渡所得に対する課税を、その次の買い替えの時まで繰り延べられるというものです。なお、この特例は上記二つの特例とは重複適用できません。

課税を免れられる方法ではありませんが、新居を将来売却するつもりがない場合には、不動産売却にかかる所得税を支払わずにすませられる方法です。


実際の税額シミュレーション


相続した不動産を売却した場合に、どのくらいの税金が発生するのでしょうか。シミュレーションしてみましょう。


●状況

親が20年前に30,000,000円(土地20,000,000円、建物10,000,000円)で購入した木造住宅を70,000,000円で親の死後1年後に売却。取得時の手数料は2,500,000円、譲渡費用は1,000,000円。住宅ローンはすでに完済。

相続税評価額は50,000,000円。

不動産の他に預貯金や株券など30,000,000円相当と合わせて合計80,000,000円を一人娘が相続して、相続税を納付済みで内4,800,000円を不動産の相続に対する相続税とする。


●不動産の売却にかかる所得税

まずは不動産を売却にかかる所得税から計算します。まず、取得費の計算をします。最初に建物の減価償却費を計算して、相続税も加算して取得費を計算します。

建物部分の取得費:10,000,000円 - (10,000,000円 × 0.9 × 0.031 × 20)  = 4,420,000円

取得費合計:20,000,000円 + 4,420,000円 + 2,500,000円 + 4,800,000円 = 31,720,000円

譲渡所得:70,000,000円 - 31,720,000円 - 1,000,000円 = 37,280,000円

親の死後、誰も住んでいなかったので空き家を売った時の特例を利用して30,000,000円を控除。

控除後の課税対象額:37,280,000円 - 30,000,000円 = 7,280,000円

長期譲渡所得だが、相続人は住んでいなかったので10年超の所有の軽減税率の適用はできない。

不動産売却にかかる所得税: 7,280,000円 × 20.315% = 1,478,932円


●印紙税

売却にあたって売買契約書に記載する金額が70,000,000円なので、50,000,000超~100,000,000円以下の軽減税率の適用で30,000円。


●登録免許税

ローンの支払いは終了していたので抵当権抹消登記の必要はなし。

したがって、不動産売却にかかる所得税=1,478,932円

印紙税=30,000円

計1,508,932円

の税金が発生することになります。


相続した不動産の売却後の確定申告について


相続した不動産を売却した時には、確定申告は必要なのでしょうか。こちらでは、確定申告が必要な場合と、確定申告する場合の必要書類と申告の流れについて解説します。


売却で収益が出た場合は確定申告を


不動産を売却したことにより、利益が出た場合には必ず確定申告をしましょう。利益が出ているのに確定申告を怠ってしまうと、不動産売却にかかる所得税や復興所得税の納税ができません。また、住民税の納税通知書が届きません。

不動産売却による譲渡所得に対する所得税や住民税は分離課税なので、自営業の方が事業所得で赤字を出してしまった場合でも損益通算できません。必ず不動産売却による利益は、その他の所得とは別に申告して、しかるべき納税をすることが大切です。

確定申告をしなかった場合には、後から税務署から必ず指摘されます。そうすると、延滞税や重加算税が課されてしまいます。本来支払うべき金額よりも高い金額を納税しなければならなくなります。

また、控除や特例は確定申告をすることで適用されます。確定申告を怠ってしまうと、本来受けられた控除が受けられなくなるので注意しましょう。シミュレーションで見た例の場合、空き家の3000万円の特別控除を受けなければ、税額は37,280,000円の20.315%で7,573,432円になってしまいます。本来の支払い金額の5倍もの額を納税しなければいけないことにもなるので注意が必要です。


●譲渡所得がマイナスになった場合は?

不動産売却にかかる所得税が発生するのは、譲渡所得がプラスになった場合です。基本的にマイナスになった場合には、確定申告をする必要はありません。ただし、給与所得や事業所得に対して所得税を支払っている場合には、マイナスの場合には確定申告をし、損益通算することで、所得が減少し、所得税・住民税が減額になる可能性があります。

給与所得や事業所得の黒字を不動産を売却した赤字で通算して所得税を減らせる可能性があります。税務署や税理士に相談して、確定申告した方が良いかどうか確認してみましょう。


確定申告の必要書類


相続した不動産を売却した場合の確定申告で必要な書類は次の通りです。


●確定申告書B様式

税務署などで入手可。


●分離課税用の申告書

他の所得と分離課税の申告をするときに必要。税務署などで入手可。


●譲渡所得の内訳書

売却した不動産の詳細について記載する書類。税務署などで入手可。


●登記事項証明書

売却して不動産の所有権が移転したことを証明するための書類。法務局で入手可。


●売買契約書・領収書など

売却金額、取得費、売却手数料を証明できる書類。


確定申告の流れ


確定申告は次のような流れで行います。


1.必要な書類の準備

2.不動産売却にかかる所得税額を計算する

3.確定申告書などの書類に記入する

4.税務署に必要書類を提出する

5.納税もしくは還付を受ける


会社員は自分で確定申告をする代わりに、毎年会社の方で源泉徴収と年末調整を行ってくれます。そのために、確定申告の方法がよくわからないという方もいることでしょう。確定申告の時期になると、税務署などで確定申告の相談会が実施されます。無料で税務署の署員などに相談して、申告書の書き方なども教えてもらえます。

また、売却金額が大きい場合には、税理士に一任した方が良い場合もあります。自分で確定申告をする自信がない場合には、税理士に依頼することも検討しましょう。


まとめ


近年、親から相続した実家の売却を考える方が増えてきました。しかし、相続には遺産分割や相続税の納税などの面倒くさいことがたくさんあります。その上、実家を売却するとなると、いろいろと相続税以外の税金のややこしいことが出てきます。

税金や手数料はいろいろとありますが、一つずつ整理していきましょう。また、確定申告をしっかりと行い、しかるべき納税は必ずするようにしましょう。

編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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