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都心6区の中古住宅マーケットウオッチ

公開日:2022-12-01 00:00:00.0

目次

都心6区の中古住宅マーケットウオッチ都心6区の中古住宅マーケットは2022年も活況に推移しています。では具体的な販売価格や成約件数、成約単価はどのくらいなのでしょうか?公表されているデータをもとに紐解いてみます。

 


 

「都心6区販売価格(図1)」の推移は?

 



各区の専有面積平均、築年平均は以下の通り



今後の都心6区の中古住宅価格の動向を考えるために、2018年以降四半期ごとに各区の中古住宅の販売価格を見ていきます。図1から直近1年間は、港区、千代田区はやや下落、中央区はほぼ変わらず、渋谷区、新宿区、文京区はやや上昇していますが、2018年以降、総じて右肩上がりで上昇しています。(下記図2成約価格では10年間この傾向が続いていることがわかります)。各区においてはそれぞれ大規模な住宅が並ぶ高級住宅地もあれば、中小住宅の多い古い住宅地もあり、また、ファミリータイプマンションもワンルームマンションも含まれるため、図1のグラフに示される販売価格の平均値のみによってマーケットの現状を語ることは難しいのですが、大枠の動きとして販売価格が極端に下がっていることはなく、2018年第1四半期と比較しても2022年第2四半期の販売価格のほうが高いことがわかります。

 

ここからさらに深堀して、以下都心3区(千代田区、中央区、港区)におけるレインズの10年間の中古マンションの成約データから、成約件数と成約単価の関係、およびストック数と成約比率の関係について考察していきます。

 



「都心3区(中央区・港区・千代田区)の成約件数 成約単価(図2)」の推移は?

 

図2で成約件数と成約単価(四半期データ)の関係を見ていきます。成約件数は、各季節独自の定期的な変化とコロナショック当初の大きな落ち込みはあるものの、この10年(2012.1四半期から2022.2四半期)で約1.5倍になり、成約単価は同10年間で約2倍になっています。

2013年に始まった日銀黒田総裁による異次元の金融緩和に伴う超低金利政策が大きく影響していると考えられます。成約件数の2期前(半年前)の数字と当月成約単価の関係を、季節ダミー変数を用いて分析しますと正の相関がみられ、成約件数が増えていくと約半年後には価格が上がっていくという関係が説明できます(自由度調整済決定係数0.39、t値5.6)。

全般的には成約件数は増えており、成約単価が上がってきている傾向にあります。

 


 

都心3区の物件ストック数と成約比率は?




次に図3は、図2と同様の四半期データ(2012.1四半期-2022.2四半期)を用いて、ストック件数と成約比率(成約件数/ストック数)の推移を表したものです。両者の間には、逆相関の関係があります(自由度調整済決定係数0 . 6 0 、t値-8.6)。図2で見た価格の上昇基調がいつまで続くのかを考える際に、図3の動きも参考になるでしょう。 

 

ある地域における中古住宅の売出価格、成約価格は、新築住宅の新規販売数、契約率、ストックや人口動態、GDP、金利、賃金等に影響を受け、近年では、コロナ禍による在宅勤務拡大の動きや、共働き世帯(パワーカップル)、為替(外国人投資家)の動向などさまざまな要因に影響を受けます。図3のグラフで見ても2019年から減少してきたストック数は2021年第2四半期に入り少し持ち直してきておりますので、これらの推移も市況の動きが関与しているといえます。




まとめ


都心のマンションの価格は本稿でみたように中長期的に上昇し続けていますが、アメリカでは、金利の急上昇により今年に入って価格上昇や住宅ローンの伸びに陰りを見せています。今後日本においても金利や為替の動向には特に注意が必要です。市場が目まぐるしく変わる中、不動産市況も流動的で価格変化が起きやすくなっています。定期的にマーケットレポートを更新していく予定ですので、次のマーケットレポート報告時には今回のまとめと比較してどう変動があったのか市況も考慮して注視してまいります。

 


Writer

村木 信爾 氏

不動産鑑定士、不動産カウンセラー、FRICS、京都大学法学部卒、ワシントン大学MBA。信託銀行にて、不動産鑑定、仲介等の業務に携わった後、現在、大和不動産鑑定㈱シニアアドバイザー、明治大学ビジネススクール兼任講師(元特任教授)、PROSIL代表。近著に『不動産プロフェッショナル・サービスの理論と実践』(清文社)2022.6刊、がある。

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