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住宅リフォーム、市場は8兆円台で推移 工事に失敗しない業者選びのコツ

公開日:2015-05-12 00:00:00.0

目次

市場調査会社の富士経済は2月17日、「2017年度国内住宅リフォーム市場予測」のレポートで、「2017年度は8兆円を維持」との見通しを発表しました。


レポートでは、2014年度は、消費税率引き上げによる駈け込み需要の反動で、市場規模は前年度比5.6%減の約7.9兆円に縮小。15年度と16年度は持ち直し前年度比でプラスに転じるものの、17年度は17年4月に予定されている消費税率引き上げで再び駆け込み需要の反動で、市場が縮小すると分析しています。


一方、経済産業省が昨年5月に発表した「リフォームビジネス拡大に向けた勉強会報告書」によれば、12年の住宅リフォーム市場規模は約6.7兆円、16年には約8.7兆円に拡大すると予測しています。
富士経済と経済産業省とでは市場の定義や調査方法が異なるため、予測値も違うのは当然ですが、両者の調査から総合的に判断すると、住宅リフォーム市場が当面の間は拡大するといえるでしょう。


増税による減少要因はありますが、住宅リフォームは巨大なマーケットといえます。その市場のトレンドと、実際にリフォームをする場合にはどんな点に注意すべきかを解説していきます。



プレミアム消費が支えるリフォーム市場


現在の住宅リフォーム市場はどんな人たちが支えているのでしょうか。経済産業省が先に紹介した報告書から、その実態を読み取ることができます。


経産省では報告書で、消費スタイルを「プレミアム消費」(自分が気に入った付加価値には対価を払う)、「利便性消費」(買い物は安さより利便性を重視)、「徹底検索消費」(比較サイトなどで情報を収集し、お気に入りを安く買う)、「安さ納得消費」(安ければよい)の4タイプに分類し、2000~2012年の経年変化別に分析。「全体的にはプレミアム消費型が増加(00年:13%→12年:22%)している」とし、マンションや戸建ての住宅リフォームに対する消費者の動向も同じであるとしています。


ここから、今の住宅リフォーム市場は自分が納得した価値のあるものにお金を払う人たちがけん引しているといえます。経産省では、住宅リフォームに対する消費者の意向について、別の調査結果も参照し、「住宅リフォーム工事の適正な価格、誠意ある対応、業者選びなどリフォーム業者に関わることに対する不安が強い」とも指摘しています。



リフォームの依頼先とチェックポイント


では、不安点を払拭(ふっしょく)し、リフォーム前と後では快適さや、資産価値も考えた「プレミアムな住宅リフォーム」をするために、リフォームを考えている人はどんな点に注意すればよいのでしょうか。


それには3つのポイントがあります。最初のポイントは「住宅リフォーム工事の依頼先選び」です。


住宅リフォーム工事には工務店、住宅リフォーム専業会社、住宅メーカー、地域ゼネコンなど、さまざまな住宅関連事業者が参入しており、それぞれに特徴や得意分野があります。そのため、内装リフォーム、キッチン改装、増改築など住宅リフォームの目的に沿った工事依頼先選びが重要になります。主な住宅リフォーム工事依頼先の種類と特徴は以下のようになります。


●工務店
大半が新築とリフォームを手がけている。地域密着の営業をしているので小回りが利く場合が多いのが特徴。工法によっては会社で得意不得意がある。


●住宅メーカー・不動産会社系リフォーム専業会社
住宅メーカーと大手・中堅不動産の多くは、自社施工物件のリフォーム部門やリフォーム専業子会社を設けている。新築の設計・施工実績が豊富なので、内装リフォームから増改築まで総合的に対応している会社が多い。


●独立系リフォーム専業会社
リフォーム専業なので、水回りから増改築までどのリフォーム工事にも対応できる会社が多い。前身は工務店や住宅設備工事店だった会社も少なくないので、得意分野がそれぞれ異なる場合もある。


●住宅機器・建材メーカー
新規事業としてリフォーム部門を設け、工務店、住宅設備工事店、地域ゼネコンなどを代理店化しているケースが多くみられる。自社製品の知識を生かしたキッチン、浴室など水回りのリフォームを得意としている会社が多い。


●設計事務所
設計事務所は住宅設計と施工監理のみを行うのが普通なので、リフォーム工事は設計事務所を通じて工務店などに依頼することになる。住まい手の生活スタイルに合わせたリフォーム提案など他の事業者にないきめ細かい提案を期待できる場合が多い。


●内装専門会社
事業特性もあり、床・壁・天井の改装、収納など内装リフォームを得意としている会社が多い。


●インテリアショップ、ホームセンター
自社販売製品のアフターサービスの一環としてリフォーム工事も行っているケースが少なくない。小規模なリフォーム工事(水回り、外構など)を得意としている会社が多い。


こうした工事依頼先の特徴を踏まえ、安心して工事を任せられる依頼先を選ぶには、次のような点をチェックするが大切です。


・リフォーム目的と工事依頼先の業務内容が合致しているか
・リフォーム工事の経験と実績は豊富か
・建築士や増改築相談員などの有資格者がいるか
・業界団体に加盟しているか、建設業許可を受けているか
(500万円以上のリフォーム工事は建設業許可が必要)
・保険に加入しているか
(建設工事保険、請負業者賠償責任保険など)
・工事完了後のアフターサービスはしてくれるのか
・見積書には明細が記載されているか



資金計画はしっかり立てる


2つ目のポイントは、「資金計画」です。

住宅リフォーム工事の場合、新築住宅購入時ほどの費用はかかりませんが、工事規模によってはそれに近い費用が発生する場合もあります。したがって、リフォーム工事においてもしっかりとした資金計画立案が大切です。そして、資金計画は次のようなステップで立てるのがコツです。


●ステップ1 おおよその費用を把握する
リフォーム工事の場合、「取り敢えずこの程度の費用で」と、金額先行の考えになりがちです。これでは「安さ納得」の粗雑な住宅リフォームはできても快適さや資産価値が高まる「プレミアムな住宅リフォーム」にならない可能性大です。リフォームで後悔しないためには、どのようなリフォームをしたいのか、そのリフォームにはどの程度の費用がかかるのかを事前に把握する必要があります。


●ステップ2 自己資金を計算する
おおよその費用を把握したら、それを自己資金でどの程度賄えるのかを計算します。


●ステップ3 住宅ローンの返済計画を立てる
100万円以下の小規模なリフォーム工事なら自己資金で賄えますが、それ以上の規模の工事となると自己資金だけでは不足するのが通例です。不足分はローンでも賄えます。


リフォーム工事に利用できるローンにも、さまざまなものがあります。公的ローンの「財形住宅融資」(住宅金融支援機構)をはじめ、民間金融機関の多くがリフォーム向けローンを用意しています。既存の住宅ローンの残高と合わせ、綿密なローン返済計画を立てる必要があります。



工事は自分の目できちんと確認を


3つ目のポイントは、「消費者自身によるリフォームの施工監理」です。

リフォーム工事依頼先を決定し、契約を結んだら直ちに工事が始まります。その時に注意すべきなのは以下の2点です。


●注意1 工事前・工事中
マンションの場合は、工事前に管理組合へリフォーム工事を申請し、建材搬入のために共用部分の使用許可を取っておく必要があります。戸建て住宅の増築や大規模リフォームでは、建築確認の申請が必要な場合があります。工事中は騒音などが予想されるので、近所(両隣、上下階など)へのあいさつも怠りなく済ませておくことが重要です。
 
施工に日数を要する大規模な工事の場合は、工事中に工事が工程表通りに進んでいるかを依頼先から定期的に報告してもらうのはもちろんのこと、工事現場をできるだけ数多く訪問し、自分自身目で確認するのも大切です。工事の手順や内容などで疑問があれば、担当者に確認して早めに解決するのが得策です。また、工事中に追加や変更が生じた場合は、口約束ではなくその内容を書面に記録し、残しておく必要があります。後日のトラブル防止策にもなります。


●注意2 工事完了後
工事が完了したら、工事依頼先と一緒に仕上がりを確認し、契約通りに工事をしてくれたかどうかの竣工検査を行います。そこで不具合があった場合は改修を依頼します。改修で不具合がなくなったことを確認したら、工事費用を精算し、引き渡しを受けます。その際、保証などの取り決めをしている場合は、保証書などのアフターサービス書類を受け取り、アフターサービスが必要になった時の連絡先などを確認します。契約書などの書類や図面、設備機器の保証書などの関連書類は、大切に保管しておくのも重要です。


こうした点に注意しながら、自分が満足できるリフォームを実現しましょう。

編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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