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「瑕疵保険」で中古住宅も品質保証の時代へ

公開日:2015-07-02 00:00:00.0

目次

中古住宅の人気が上昇していますが、いざ購入となると頭をよぎるのが「給排水管は大丈夫?」、「雨漏りはしないだろうな?」など、物件の目にみえない部分の不具合に対する不安といわれています。

リノベーション物件の場合は、不動産会社などが事前に物件の劣化・損傷を点検し、リフォーム工事を施すなどの品質保証をして売り出すケースが通常なので、購入者はまず安心といえます。

しかし、こうした品質保証のある中古住宅売買はほんの一部で、大半は売り主も買い主も個人の「個人間売買」です。不動産会社はあくまで売買の仲介をしているだけであって、物件の品質保証をしているわけではありません。そして、個人間売買の約60%が品質保証のない「現状有姿」(物件を現状の有りのままの状態で引き渡す取引)といわれています。



中古住宅購入者7割が保証なしで購入


このため、中古住宅の購入に際しては、購入者が自ら物件の瑕疵(劣化、損傷、不具合など)を確認する必要があります。しかし、建築知識が乏しい大半の購入者は近年、住宅診断士などの専門家に瑕疵確認を依頼する「ホームインスペション」を行い、その診断結果を参考に購入するか否かを決める購入者も増えています。
しかし、これも瑕疵の有無を診断してくれるだけであって、品質保証をしてくれるわけではありません。また、これには別途費用がかかることもあってか、ホームインスペクションを行わずに中古住宅を購入した人は中古マンションの場合は71.9%、中古戸建ての場合は69.9%に達しています(不動産流通経営協会「2014年度不動産流通業に関する消費者動向調査」)。
つまり、70%前後の購入者が「瑕疵があるのか、ないのかは住んでみなければ分からない」という品質無保証状態で中古住宅を購入しているのが現状です。
 
そこで近年注目されているのが、購入物件入居後に判明した瑕疵を保証する「既存住宅売買瑕疵保険」、通称「瑕疵保険」です。



中古住宅購入の不安を解消する瑕疵保険とは?


瑕疵保険には「宅建業者用」と「個人間用」の2種類があります。
前者は中古住宅を買い取った不動産会社(宅地建物取引業者)が、それを一般消費者に再販する時の瑕疵保険で、保険加入者は不動産会社です。不動産会社は国土交通大臣指定の瑕疵保険法人と保険加入契約を結びます。
後者は中古住宅売買の大半を占める個人間取引を対象にした瑕疵保険です。こちらはちょっと複雑です。まず中古住宅の売り主が「検査事業者」に保険加入申し込みをします。検査事業者は加入申し込みのあった中古住宅の瑕疵検査を行い、問題がなければ検査事業者が保険加入者として保険法人とに保険加入契約を結びます。そして検査事業者は当該中古住宅の買い主に瑕疵保証責任を持ちます。
瑕疵保険の保険料は1回払いで、保険料と現場検査料(瑕疵診断料)で構成されています。保険料は住宅の床面積や構造、特約の有無、保険期間などにより若干異なりますが、おおむね10万円以下といわれています。
 
また、宅建業者用の保険料は不動産会社が負担しますが、個人間用の保険料は売り主と買い主のどちらが負担するのか、制度上の定めはありません。このため、最近は仲介契約拡大の販促策として個人間用の保険料を負担する不動産会社も増えているようです。
瑕疵保険の対象となるのは、戸建ての場合は「構造(住宅の耐久性)」と「防水(雨水の侵入防止機能)」で、特約として給排水管路、引き渡し前リフォーム工事なども対象にできます。マンションの場合は構造、防水、給排水管路の3つで、こちらは特約がありません。保険期間は、宅建業者用は戸建てもマンションも2年または5年。個人間用は戸建てもマンションも1年または5年です。
保険金額(瑕疵保証額)は保険加入者や保険対象の別なく、一律500万円または1,000万円で、保険期間中に住宅の瑕疵が判明した場合、買い主に対して保険金額内の保険金が支払われます。ただし、瑕疵保険に加入できるのは新耐震基準に適合しているなど一定の要件を満たした住宅のみで、すべての中古住宅が保険に加入できるわけではないので注意が必要です。



中古住宅は「流通促進」から「品質保証促進」の時代へ


瑕疵保険は中古住宅の「買い主保護を図る」面では一歩前進の感がある制度ですが、2014年3月末現在の個人間用累計加入件数は2,277戸(国土交通省調べ)に留まっています。
これは2010年に創設された任意加入制度なので認知度が低い、制度の仕組みが分かりにくいなどが原因とみられています。現状は買い主保護が「日暮れて道遠し」の状況です。
ところが、瑕疵保険制度創設が口火となり、中古住宅流通大手を中心に独自の中古住宅の設備保証サービスを行う動きが活発化。今では大半の大手不動産会社が何らかの保証サービスを行っています。一方で、こうした民間の動きに刺激されたのか、国土交通省が「分かりにくい、利用しにくい」の不評が高い瑕疵保険の改善に乗り出しました。
 
中古住宅市場は「流通促進の時代」から「品質の透明化と保証の時代」へ変わりつつあるようです。
編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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